2011年1月29日土曜日

カナダのサケの大量死、原因は遺伝的欠陥か サイエンス誌

カナダで天然紅鮭(ベニザケ)が大量死した原因は遺伝的欠陥の可能性が高いとする論文が、

13日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。遺伝の欠陥で免疫系が弱まり、

ウイルスへの抵抗力がなくなったためと考えられるという。

 ブリティッシュ・コロンビア(British Columbia)州を中心に生息する成魚の

ベニザケは近年、数を40~95%も減らしており、同州の漁業に深刻な打撃となっているほか、

絶滅の危機さえ叫ばれている。

 原因を探るため、研究者らは回遊を無事終えたサケのゲノムプロフィールを調べ、

産卵地に到達する前に死んだサケのものと比較した。

 その結果、死んだサケには共通して「代謝と免疫関連のストレスを示す

遺伝子シグネチャー」が見いだされた。

 このストレスの原因は特定できていない。だが研究者らは、

この遺伝子シグナチャーが産卵地の川に入る前に現れていることから、

「サケは川に入る前にウイルスに感染し、産卵地に到達するまで

ウイルスは生き残っていた」とする仮説を立てている。

 サケが川で大量死したことは、1つの要因では説明できない。

だが統計分析によると、死んだサケの大半で、ある一貫した遺伝子群が見られるという。

 ある研究者は、「これらの遺伝子の多くは、ウイルス活性との関連性が

知られている生物学的経路の中にあった」と指摘する。

 カナダ太平洋岸のフレーザー川(Fraser River)に戻ってくるベニザケの数は2009年に激減。

そのためカナダ政府は原因究明委員会を発足させた。

(c)AFP