2011年6月26日日曜日

蚊を「煙に巻く」におい分子を発見、マラリア予防に期待大

蚊(か)を寄せ付けない「におい分子」を特定したと、

米カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California at Riverside)

などの研究チームが1日、発表した。革新的で安価な防虫剤の開発につながる可能性があり、

マラリア予防研究においては近年になく画期的な発見だ。

 現在、一般的な防虫剤として用いられる化学成分は「ディート(DEET)」だが、

マラリアに苦しむ熱帯地方の貧困国にとっては高価な点や、何回も塗布する必要があること、

蚊が耐性を持ち始めているなどの欠点があった。

 研究チームは、一般的に実験で使用されるミバエの研究をもとに、

メスが病気を媒介する3種の蚊(ハマダラカ、ネッタイシマカ、ネッタイイエカ)を分析し、

口の近くにあるアンテナ状の二酸化炭素(CO2)受容細胞をかく乱する「におい分子」を特定。

次に、小屋の中にCO2とこの「におい分子」を噴霧する小規模な実験をケニアで行って、

「におい分子」に蚊をはねつける効果があることを確認した。

 ハエの受容細胞は、CO2を感知すると脳に信号を送る。蚊はこの信号をもとにCO2の

発生源めがけて飛翔し、食事(血)にありつく。この時、熱センサーと目も使っていると考えられる。

 今回の結果について米国立衛生研究所(National Institutes of Health)の

マーク・ストップファー(Mark Stopfer)氏は、「蚊に対する有望な防御策が目の前に開けた」

と述べながらも、「蚊は人間の汗や皮膚のにおいにも引き寄せられる。

また、開発された化学物質の人体への安全性テストは一度も行われていない」と注意を促している。



(c)AFP









2011年6月19日日曜日

ツイッター社がユーザー個人情報を開示、英地方議会の要求で

英イングランドのサウスタインサイド(South Tyneside)議会は29日、

米マイクロブログ「ツイッター(Twitter)」にユーザーの個人情報開示を求める訴えを

米カリフォルニア(California)州地裁に起こし、同社から情報開示を受けたことを明らかにした。

 サウスタインサイド議会によると同議会は、議員や議会職員らの中傷記事を掲載するブログ運営者で

「Mr Monkey(ミスター・モンキー)」と名乗る人物の身元情報を得るため、

ツイッター社を相手取り法的措置を取った。訴えを受けてツイッター社から代理人の

弁護士に個人情報が開示され、現在、専門家が情報を分析しているという。

 AFPの取材にツイッター社は応じていないが、広報担当の1人が英BBCに対し

「個別の命令や要請についてコメントはできない」と述べた上で、

「アカウント情報を開示する前にはユーザーに通知している」と説明している。

 英国ではツイッターをめぐり、英高等法院が実名報道を禁じた不倫疑惑の匿名サッカー選手として、

マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のライアン・ギグス(Ryan Giggs)

選手の名前がツイッターで拡散する騒ぎがあったばかり。



(c)AFP








2011年6月12日日曜日

WHO、天然痘ウイルス株の扱いで議論 保存か廃棄か

世界保健機関(World Health Organization、WHO)加盟国の間では、

1979年に根絶された天然痘の最後のウイルス株を保存すべきか廃棄すべきか、議論が再燃している。

 前回1986年の議論では、最後の株を保持している米国とロシアの主張が通り、

保存することが決議された。

 米露は今回も、天然痘の再来を防ぐための研究は継続されなければならないと主張し、

保存したい考えを示した。両国はとりわけ、生物化学兵器の用途で天然痘ウイルスを

秘密裏に保持している国がある可能性を懸念している。

 ただし両国は、最終的には廃棄されるべきだとして、廃棄の日程に関する

話し合いを5年以内に開始したいと述べている。

 欧州連合(EU)、カナダ、イスラエル、モナコ、コロンビア、中国もこれに同調しており、

WHO加盟193か国に23日配布された決議案の草案にも米露の意見が反映されている。

 一方で、北アフリカ諸国、イラン、タイ、ジンバブエ、マレーシアなどの20数か国は、

ただちに廃棄されるべきだとして草案に強く反対している。マレーシア代表は
「ウイルスを保存すべき科学的根拠はない」と主張。

イラン代表は「保存の合意に達した前回の議論から30年も経過している。

もはや廃棄の日にちを決める段階にある」と述べた。

 援助団体も廃棄の意見に賛成だ。Third World Networkの顧問を務める

エドワード・ハモンド(Edward Hammond)氏は、「米国とロシアがかぶった保健衛生の

仮面の裏には、国家安全保障問題が隠れている」と批判した。

 WHOは両者の妥協案を探るための作業部会を立ち上げており、24日も議論が行われる。

最終的には投票で決定されるという。


(c)AFP 







2011年6月5日日曜日

最古のほ乳類は嗅覚が発達していた、米研究

これまでに知られている中で最古のほ乳類2種の頭骨をCTスキャンしてみたところ、脳は大きく、嗅覚(きゅうかく)をつかさどる部位がよく発達していたとする研究成果が、19日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 米テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)などの研究チームは、

中国のジュラ紀の化石層で発掘されたトガリネズミに似た2種に着目した。

約1億9000万年前に生息していた「モルガヌコドン(Morganuocodon)」

と「ハドロコディウム(Hadrocodium)」だ。

 CTスキャンを使って頭骨の内部を再現してみると、鼻腔とこれに関連する部位、

においを分析する脳の部位がいずれも大きいことが分かった。鋭い嗅覚を持っていたことを示している。

 また、2種とも、道を探したり敵を避ける時に毛皮をセンサー代わりに使っていたとみられる。

 以上のことから、研究チームは、ほ乳類の脳は3段階で進化したと考えている。まず嗅覚が発達し、

次に体毛の触覚が発達し、最後に「筋肉を上手に動かすための」脳の協調が発達したというのだ。 

 化石をCTスキャンで分析するこのプロジェクトは、過去10年間で初期のほ乳類化石十数種と

現生種200種以上を対象にした。画像は以下のサイトで見ることができる。

(c)AFP