2011年7月31日日曜日

最遠のクエーサー発見、超巨大ブラックホール形成の謎

欧州の研究チームが6月29日、これまで見つかった中で最も遠くにある、

中心に超巨大ブラックホールを持つ明るい銀河を発見したと、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

初期宇宙を探る手がかりになるとみられるという。

 今回見つかった「ULAS J1120+0641」はクエーサーと呼ばれる種類の天体で、

チリにある欧州南天天文台(European Southern Observatory、ESO)の大型望遠鏡

VLT(Very Large Telescope)と、英国がハワイ(Hawaii)で運用している赤外線望遠鏡を

使った5年間の観測で見つかった。

 「赤方偏移」という現象の観測から、地球から約129億光年離れていることが分かった。

約137億年前に起きたと考えられているビッグバンからわずか約7億7000万年後に

この天体が発した光を捉えたことになるという。これまでに知られていた最も遠い

クエーサーからは、ビッグバンから8億7000万年後に発した光が捉えられていた。

 研究チームを率いた英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の

スティーブン・ワレン(Stephen Warren)氏は、「このクエーサーは初期宇宙を調べるうえで

きわめて重要だ」と語る。「ビッグバン後の数億年間に超巨大ブラックホールが

どのように形成されたのか理解する助けとなる」

 観測結果によると、今回見つかったクエーサーのブラックホールは、

太陽のおよそ20億倍の質量があるとみられる。現在の一般的な理論では、

超巨大ブラックホールは周囲から徐々に物質を吸い込みながら数十億年かけて形成されると

考えられているため、どうしてこのような超巨大ブラックホールが短期間に

形成されたのかうまく説明できない。


(c)AFP








2011年7月24日日曜日

食器洗浄機にカビ、未知の病原性持つ恐れも 研究成果

世界101都市、189世帯の食器洗浄機を調べたところ、高温のお湯や大量の洗剤、

塩水、アルカリ性や酸性の水を浴びても死なないカビが生息していたという研究結果が、

英国菌学会(British Mycological Society)の学会誌「ファンガル・バイオロジー

(Fungal Biology)」最新号に発表された。未知の病原性を持っている恐れもあるという。

 食器洗浄機から採取されたサンプルから確認されたのは、黒色真菌の

エクソフィアラ・デルマティティディス(Exophiala dermatitidis)と、

同じ属のエクソフィアラ・フェオムリフォルミス(E. phaeomuriformis)。

「全身性疾患を引き起こすことがあることで知られ、

特に嚢胞性線維症の患者の肺にコロニー形成しやすい」という。

 対象となった食器洗浄機の56%で、ドアのゴム部分にこれらのカビが見つかった。

どちらのカビも自然の中ではあまり見かけない好極限性微生物だが、繁殖に好都合な温度と

湿気がある食器洗浄機の隙間を新たな住みかとして見つけたらしい。

 今回の研究は、食器洗浄機に生えたこれらのカビが健康を脅かすかどうかについては検討していない。

しかし、この「過酷な環境」に耐えていることから、遺伝子的な変異が起こっている

可能性について「さらなる研究が不可欠」としている。

 特に「同じ属で遺伝子型が異なるカビが2種類、一緒に存在していたことから遺伝子組み換えが

起きる可能性もあり、未知の病原性を持つ新たな遺伝子型になっている恐れもある」という。

 このほか、食器洗浄機から採取したサンプルからは、アスペルギルス(Aspergillus)属、

カンジダ(Candida)属、フザリウム(Fusarium)属、ペニシリウム(Penicillium)属などの

菌が見つかった。



(c)AFP









2011年7月17日日曜日

長時間のテレビ視聴で病気・早死リスク高まる、米研究

テレビを長時間見る人では、糖尿病や心臓疾患、早死のリスクが高まる傾向があることが

過去40年間の研究成果から示されたと、米ハーバード公衆衛生大学院

(Harvard School of Public Health)の研究チームが15日、米国医師会雑誌

(Journal of the American Medical Association)に発表した。

 研究チームは、過去40年間に公表された論文を精査した。

すると、テレビの視聴時間が1日あたり2時間増えると、2型糖尿病の発症リスクが20%、

致死性および非致死性の心臓病リスクが15%、何らかの原因によるで早死のリスクが13%、

それぞれ高くなることが分かった。糖尿病と心臓病のリスクは視聴時間に比例して高まるが、

早死リスクは視聴時間が1日3時間以上になると一気に増える傾向が見られたという。

 米国人が1日にテレビの前で過ごす時間は平均5時間に上る。この傾向は世界的に広がっており、

今回の研究によれば欧州では1日の自由時間のおよそ4割にあたる3時間、

オーストラリアでは同5割に相当する4時間となっている。

 研究に参加したハーバード大のフランク・フー(Frank Hu)教授(栄養学・疫学)は、

「この研究結果が示しているのは、テレビの視聴時間を減らせば、2型糖尿病、心臓病、

早死のリスクを減らせるというシンプルなメッセージだ。運動を増やすだけではなく、

長時間テレビを見るといった座りがちな生活習慣を改善していく必要がある」と述べている。



(c)AFP








2011年7月10日日曜日

テルアビブでゲイパレード

イスラエルのテルアビブ(Tel Aviv)で10日、

毎年恒例のゲイ・プライド・パレード(Gay Pride Parade)が開かれ、

数万人が集まった(2011年6月10日撮影)。

(c)AFP/DAVID BUIMOVITCH







2011年7月3日日曜日

反水素原子を16分以上閉じ込め、宇宙の謎に迫る CERN

欧州合同原子核研究機構(European Organisation for Nuclear Research、CERN)の

国際研究チームは5日、反物質の一種である「反水素原子」を世界最長の16分以上(1000秒間)

閉じ込めることに成功したと、英科学誌「ネーチャー・フィジックス

(Nature Physics)」(電子版)に発表した。

 約140億年前のビッグバンの瞬間、物質と反物質は数の上で均衡を保っていたと考えられる。

粒子と反粒子が衝突すると小さなエネルギーが生じて互いに消滅することから、

この均衡が保たれていたならば、宇宙は存在していなかった。

宇宙、そしてそこに住むわれわれが存在できているのは、何らかの理由で物質が反物質より

優先されたためなのだ。そして反物質は今や、極めて希少な存在となっている。

 この物質と反物質の数の不均衡は、素粒子物理学における最大の謎の1つだ。

CERNが行っている水素原子の低エネルギー実験で今回、反水素原子を16分以上閉じ込められたことで、

反物質の謎の解明が大きく前進することが期待される。


(c)AFP/Marlowe Hood