2008年8月2日土曜日

スクーターで米大陸横断、70歳代男性コンビ

ガソリン価格は高騰し、若者文化全盛のこのご時世、2気筒のバイクを愛好する70歳代の
アメリカ人男性2人が、無鉄砲ともいえる米大陸横断に成功した。
カリフォルニア(California)州のボブ・チェース(Bob Chase)さん(72)とニューヨーク(
New York)州のバディー・ローゼンバウム(Buddy Rosenbaum)さん(71)の2人は、
それぞれ所有していた排気量1000ccの大型バイクをイタリア製スクーターと交換し、
カリフォルニアからニューヨークまで5500キロの旅に出た。
■「情熱の追求に年齢は関係ない」
7月14日、ニューヨーク市のタイムズスクエアに2人が到着するまでにかかった旅費は、
ガソリン代300ドル(約3万2000円)だけだった。しかし、経済的な旅が依然、可能だということを
証明することだけが、2人が小型バイクに乗り換えた目的ではなかった。年齢も理由だったのだ。
「ボブと私はいつもバイク・アドベンチャーに燃えてきた。バイクが少々重くなってきたけれど、
あきらめたくはなかった」とローゼンバウムさんは言う。
2人のルート選びでも、年齢は考慮すべき要因となった。2人はアメリカ最古の大陸横断道路、
リンカーン・ハイウエー(Lincoln Highway)を選んだ。
おまけに2人はタイムズスクエアへは普通のスクーターではなく、ピアジオ(Piaggios)の
3輪スクーターで登場し、ローゼンバウムさんいわく「情熱の追求に年齢は障害とならない」
ことを証明した旅の最高潮となった。「年を取っても、情熱を持ち続けることはできる。
あきらめる必要はない。情熱を表現する創造的な方法を探さなくちゃいけないだけだ」
(ローゼンバウムさん)

■ツーリング先で出会って以来、世界各地をともに
神経質なニューヨーカーのローゼンバウムさんと、くつろいだカリフォルニアンのチェースさんが
最初に出会ったのは、南米チリの首都サンティアゴ(Santiago)からティエラデルフエゴ
(Tierra del Fuego)をそれぞれ旅している時だった。2人ともBMWの大型バイクに乗っていた。
以来一緒に世界をバイクで周り、ヒマラヤ(Himalayas)山脈やアルプス(Alps)山脈越えをともに
した2人は今回、リンカーン・ハイウエーを並んで疾走した。
チェースさんはこの一条のハイウェイは、永遠の若さを求めるアメリカ人にとっての至宝だという。
「このハイウエーは5500キロの博物館だが、今や失われつつある。保存されるべきなのに、多くの人が
それをよく分かっていないし、(リンカーン・ハイウエーを)生かすことに関心がない」と嘆く。
ローゼンバウムさんは、新しい旅に出る度に、出発の前にジャック・ケルアック(Jack Kerouac)の
『路上(On The Road)』を読み返すという。「この本を読むと求めていたスピリットが得られるんだ」

■「歳をとることを投げ出すべきではない」
大陸横断中、2人は誕生100年の古い橋を渡り、建築70年の建物を目にしながら、
見過ごされがちな年齢を重ねた命を祝福したという。「オハイオ(Ohio)州とウェストバージニア
(West Virginia)州を結ぶニューウェル・ブリッジ(Newell Bridge)は、105歳だけど、
まだあそこにある。1933年のアールデコ様式の駅もあった。最初の持ち主の息子がまだ管理して、
使われていた。今も生きている建築や物を見るたびに僕たちは喜んだ」(ローゼンバウムさん)
米大陸横断の旅から学んだ教訓があるとすれば、それは1ガロン4ドルの時代にもまだ燃費の
よい旅が可能だということだけではない。それよりも大事なのは、アメリカ人は歳をとることを
早々に投げ出すべきではない、とう点かもしれない。
「アメリカは古い物をさっさと捨て、すぐに新しいものと置き換える」とローゼンバウムさん。
「われわれは古いものを保存すべきだ。古いものへの思いやりからだけではない。古いものには
気品があるからだ」 (c)AFP

素晴らしい大陸横断だったね!!