イスラエルで発見された1世紀ごろの男性のミイラのDNAから、ハンセン病を
患っていた痕跡が見つかったと、エルサレム・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)
が12月16日発表し、オンライン科学誌「PLoS ONE」に掲載された。
これまでに確認された中では最古の「ハンセン病患者」だという。
■キリストの埋葬布に異説も
ミイラは、エルサレム(Jerusalem)旧市街近郊の埋葬用の洞くつの中で、
布に包まれた状態で発見された。放射性炭素年代測定で、紀元後1~50年に生きて
いたことが判明している。この洞窟は、イエス・キリストの12使徒の1人でイエスを裏切った
ユダ(Judas)が自殺を図ったとされる地区に隣接している。
ミイラを覆っていた布の織り方も、埋葬用の布としては新発見だという。
キリストの遺体を包んだと一般的に信じられている布は、複雑な織り方の
「トリノの聖骸布(Turin Shroud)」だが、今回ミイラを包んでいた布の織り方は
二方向の単純なものだという。同大は、「この布がキリスト時代に埋葬用として一般的に
使用されていたとすれば、『トリノの聖骸布』はキリスト時代のエルサレムに
起源を持つものではないと考えられる」としている。
■ハンセン病と結核の両方に感染
ミイラが発見された墓の調査では、この男性に対しては当時一般的だった二次葬(改葬)
が行われていないという興味深い事実が明らかになった。
研究に参加した分子科学者のMark Spigelman)教授は、その理由について、
男性がハンセン病を患い、結核で死亡したことと関係があるのではないかと見ている。
男性の骨のDNAには、両方の病気の痕跡が残っていた。
中世ヨーロッパでは、ハンセン病は非常に恐れられたが、16世紀までには事実上根絶した。
結核が猛威を振るい始めたからだとする専門家もいる。
(c)AFP
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