2010年2月13日土曜日

世界最古のハンセン病患者は1世紀の男性、エルサレムで発見のミイラ

イスラエルで発見された1世紀ごろの男性のミイラのDNAから、ハンセン病を

患っていた痕跡が見つかったと、エルサレム・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)

が12月16日発表し、オンライン科学誌「PLoS ONE」に掲載された。

これまでに確認された中では最古の「ハンセン病患者」だという。

■キリストの埋葬布に異説も

 ミイラは、エルサレム(Jerusalem)旧市街近郊の埋葬用の洞くつの中で、

布に包まれた状態で発見された。放射性炭素年代測定で、紀元後1~50年に生きて

いたことが判明している。この洞窟は、イエス・キリストの12使徒の1人でイエスを裏切った

ユダ(Judas)が自殺を図ったとされる地区に隣接している。

 ミイラを覆っていた布の織り方も、埋葬用の布としては新発見だという。

 キリストの遺体を包んだと一般的に信じられている布は、複雑な織り方の

「トリノの聖骸布(Turin Shroud)」だが、今回ミイラを包んでいた布の織り方は

二方向の単純なものだという。同大は、「この布がキリスト時代に埋葬用として一般的に

使用されていたとすれば、『トリノの聖骸布』はキリスト時代のエルサレムに

起源を持つものではないと考えられる」としている。

■ハンセン病と結核の両方に感染

 ミイラが発見された墓の調査では、この男性に対しては当時一般的だった二次葬(改葬)

が行われていないという興味深い事実が明らかになった。

 研究に参加した分子科学者のMark Spigelman)教授は、その理由について、

男性がハンセン病を患い、結核で死亡したことと関係があるのではないかと見ている。

男性の骨のDNAには、両方の病気の痕跡が残っていた。

 中世ヨーロッパでは、ハンセン病は非常に恐れられたが、16世紀までには事実上根絶した。

結核が猛威を振るい始めたからだとする専門家もいる。


(c)AFP

世界のハンセン病現代史



ハンセン病の療養所をつくったお坊さん



証言・ハンセン病