2009年7月3日金曜日

正倉院伎楽面にリサイクル顔料!?原料の貝殻、捨て場で入手か

正倉院の世界



すぐわかる正倉院の美術





 奈良市の正倉院にある宝物で、8世紀の伎楽(ぎがく)面の一部に
使われた白色顔料が、貝殻をリサイクルして作られた
かのうせいの高いことが分かり、宮内庁正倉院事務所が
4月24日、発表した。同事務所の保存課長は「わざわざ原料を
とるために貝を採取したとは考えにくい。
貝殻や貝の捨て場から入手したのだろう」としており、
古代の顔料を研究する上で貴重な史料といえそうだ。
伎楽面は大陸から伝わった古代の音楽劇、伎楽に用いた仮面で、
正倉院には171面が伝わる。こううち比較的素朴な作風で、
地方からの貢納品とみられる木彫製の10面と、
乾漆製の8面を調査した。面を納める箱の中に落ちていた
白色顔料の粉を電子顕微鏡で観察したところ、
平城京の辺りで作られた面に一般的な鉛系の顔料ではなく、
貝殻を細かく砕いて使っていたことが判明した。
原料は粒子の表面の状態から、カキのほか、アワビやアコヤガイ、
アカガイなどに分類された。木彫製ではカキのみ、
乾漆製では複数の種類が含まれていた。