2008年3月18日火曜日

不登校が教えてくれた 愛情を求め懸命の例え話

★ 不登校が教えてくれた 愛情を求め懸命の例え話

学校に行かないことを親が受け入れると、次男にも変化が
表れました。
医師の勧めもあり、親子で散歩することになりました。
家にこもっていた息子が靴をはくのは数週間ぶり。人目を避け、
出発はいつも深夜でした。
ジャンパーのフードを目深にかぶり、私の後に隠れるようにして
歩く息子。具合が悪くなり、引き返す夜もありました。
「死んだらどうなるのかな」暗い話ばかり口にし、付き合う私は気が
めいる一方。遠くの家の明かりがし幸せそうに見え、夜更けに戸外を
うろつく自分が惨めでした。
そんなある日、「犬がいる」息子がごみ捨て場を指さしました。
でも視線の先に犬はいません。戸惑って探す私に構わず、
「犬飼っていい?」と息子は続けます。「マンションだから飼えないよ」
と言うと、「もし飼えたら毛がぼろぼろの病気の犬でもいい?」とぽつり。
「そんな犬いるの?」と聞くと「うん…」とうつむいてしまいます。
人とかかわりたくなくて、犬と仲良しになりたいのかな。動物好きの
息子だけに、その時はそう思いました。しかし、
犬の話題は日ごとに熱を帯びました。
「捨てられて毛も抜けて汚くて声がかすれて、そんな犬でもお母さんなら
飼う?」と聞かれ、「だから飼えないのよ」と答えても、「
もしも飼えたらの話だよ」と食い下がります。「飼えたとしても、
そんな犬じゃ嫌だな」と言いながらふと見ると、息子は私の上着の
すそをギュッと握っていました。「その犬はさ、飯をガツガツ食って、
ふすまをビリビリに破って、みすぼらしくてバカで…」。そこまで聞き、
やっと気がつきました。犬とは次男自身だったのです。
学校に行けない僕でも愛してくれる?そう懸命に訴えているんだと
分かり涙が出ました。「いいよ、その犬飼うよ」と私。
その瞬間息子の手から力が抜けた気がしました。それ以来、
犬の話もぱったりと途絶えたのでした。子どもの心をこんな形で知って
ショックだった半面、
「私も、わが子の思いを受け止められるようになったかな」と
いう喜びもありました。
ただし、親子関係がこのまま楽になったわけではありません。
これから後、私は息子に何度も何度も試されることになるのです。