2008年8月17日日曜日

波紋広げる農相発言 消費者庁法案にも影響 

大田誠一農相が食の安全に関し「消費者がやかましく言うと、応えざるを得ない」などとした
テレビ発言が十一日、波紋を広げた。野党幹部は「官尊民卑の発言だ」(鳩山由紀夫民主党幹事長)
などと一斉に批判。政府、与党内でも、格好の攻撃材料を提供した形の農相への視線を冷たく、
次の臨時国会に提出される福田康夫首相肝いりの「消費者庁」創設関連法案審議にも影響が
出そうな雲行きだ。「閣僚としての資質を疑わなければならない。
高い目線で消費者を眺めているのではないか。この内閣もスタート早々、終止符を打たなければ
ならないような状態だ」。鳩山氏は十一日夜の沖縄市での講演で発言を強く批判し、
福田改造内閣への対決姿勢をあらわにした。ほかの野党も「消費者の思いを逆なでし、
消費者庁の在り方にも大きな影を落とした」(穀田恵二共産党国対委員長)と、臨時国会で激しく
追及する構えだ。消費者庁設置法案に関して、民主党は基本的な方向性に大きな違いはないとして
「注文は付けても、つぶすつもりはない」(幹部)との立場だった。だが、今回の発言で法案審議が
スムーズに進まない可能性もあり、首相が思わぬ火種を抱え込んだのは間違いない。
「あまり適切な言葉ではないと思いますよ」。十一日夜の記者団の質問に首相に
「その場に居合わせていないからよく分からない」としながらも、心中穏やかでないことをうかがわせた。
野田聖子消費者行政担当相はよりストレートに「消費者行政は福田内閣の最重要課題で、
意識を高めてほしい。誤解がないよう取り組んでいただきたい」と苦言を呈し、
公明党の太田昭宏代表も「私は消費者の声を聞くのが一番大事だと思う」として真意を説明するよう求めた。
当の農相は(消費者が)健全に、正当に自らの権利を主張しているということを言っている。
と改めて釈明したが、過去にも物議を醸す発言をしているだけに、与党内にもかばう声は多くない。