2008年7月19日土曜日

タスマニアデビル、交尾年齢の早期化で種の絶滅に対抗か


商品無料仕入れ戦隊『電脳卸』


致死性の高い伝染病が拡大しているオーストラリアの肉食有袋類タスマニアデビルの間で、
従来より若い年齢で交尾を行うケースが増えていることが調査により判明した。
この調査結果は15日の米科学アカデミー紀要
(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。

タスマニアデビルの間では顔に腫瘍ができる「デビルがん」の感染が拡大しており、
この病気の致死率が100%であることから、タスマニアデビルは20-25年以内に絶滅する危険が
あるとされている。デビルがんが1996年に初めて確認されて以来、タスマニアデビルの
目撃件数は64%減少している。

ところが、タスマニア大学(University of Tasmania)の動物学者メナ・ジョーンズ
(Menna Jones)氏が、伝染病が拡大する前と後の調査データを比較したところ、通常は2歳で
交尾するタスマニアデビルが、1歳で交尾するケースが16倍に増えていることが分かったという。
これについてジョーンズ氏は、「タスマニアデビルは、致死性の病気の拡大していることから交尾の
早期化という自然選択を行い、種の保存を行っている」と説明している。妊娠回数が増えれば、
それだけ自分の遺伝子が生き残るチャンスが増えるからだ。

別の専門によると、伝染病の拡大が交尾の早期化を招いた例が乳類で確認されたのは
今回が初めてだという。ただ、感染が拡大する速度を遅らせる可能性はあっても、
タスマニアデビルの個体数減少を防ぐことはできないとみている。 (c)AFP