2008年7月12日土曜日

ユネスコ、世界遺産27件を新たに登録 1



カナダ・ケベックで2日から開催されている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第32回
世界遺産委員会は、これまでに計27件を新たに世界遺産リストに登録した。うち、
文化遺産は19件、自然遺産は8件だ。

この結果、8日現在で世界遺産の総計は145か国、878件となった。世界遺産が初めて登録された国は
パプアニューギニア、サンマリノ、サウジアラビア、バヌアツの4か国にのぼる。 

<欧州の新世界遺産>
■アルバニアのベラト
アルバニア中央部の都市。同国では、2005年登録の「ギロカストラの博物館都市」に次ぐ世界遺産となる。13世紀のビザンチン様式の教会とオスマン帝国時代のモスクが混在し、18世紀にスーフィズム(イスラム神秘主義)の信者たちが住んでいた住居も現存する。委員会は、登録理由を「多様な宗教と文化が共存しているため」とした。

■ヴォーバンの要塞(Fortifications of Vauban)
 フランスのルイ14世(Louis XIV)のお抱え建築家、セバスチャン・ル・プレストル・ヴォーバン(Sebastien Le Prestre de Vauban)の最高傑作とされる建築物。欧州のみならずアメリカ大陸、ロシア、東アジアに同様の要塞が築かれるに至った。

■ベルリンの近代集合住宅(Berlin Modernism Housing Estates)
 1910年から1933年にベルリンでに建設された低所得者向け集合住宅。ブルーノ・タウト(Bruno Taut)などドイツの著名建築家らが設計を手掛けた。「アパート」のさきがけとされる。

<アジアの新世界遺産>
■中国の三清山国立公園(Mount Sanqingshan National Park)

■中国の福建土楼(Fujian Tulou)

■カンボジアのプレアビヒア寺院(Preah Vihear Temple)
 今回登録された中で最も物議をかもしたのは、カンボジアのタイ国境にあるプレアビヒア寺院だった。カンボジアとタイは11世紀ごろ山岳頂上に建設された寺院一帯の領有権を長年争っていたが、1962年に国際司法裁判所がカンボジア領との判断を下した。しかし、寺院の入口に入るにはタイ側の山のふもとから上るしかないなど問題があったことから、カンボジアの世界遺産登録の単独申請にタイ政府は同意していなかった。

 この問題は6月にタイ政府がカンボジア政府による登録申請に合意したことで解決したかにみえたが、タイ国内の政治団体や市民団体がこの合意に激しく反発。タイの裁判所が政府の決定を差し止める事態に至っていた。

■インドのカルカ・シムラ鉄道(Kalka Shimla Railway) 
世界遺産「インドの山岳鉄道群(Mountain Railways of India)」に追加された。19世紀半ばに建設。全長96キロの単線で、カルカと高原都市のシムラを結ぶ。

■ニューカレドニアのサンゴ礁(New Caledonia lagoon)
 1万5000平方キロに及ぶこのサンゴ礁は、オーストラリアのグレート・バリア・リーフ(Great Barrier Reef)に次ぐ世界第2位の大きさを誇る。

<アラブ・アフリカの新世界遺産>
■イエメンのソコトラ島(Scocotra Archipelago)

■サウジアラビアのアルヒジル(Al-Hijr)遺跡

■イスラエルのハイファ(Haifa)と西ガリラヤ(Western Galilee)にあるバハイの聖地(Baha’i Holy Places)

■イランのアルメニア修道院群(Armenian Monastic Ensembles)

■ケニアのミジケンダ・カヤの森(Mijikenda Kaya Forests)

■モーリシャスのル・モーン(Le Morne)の文化的景観

<その他地域の新世界遺産>

■カナダのジョギンズ化石崖(Joggins Fossil Cliffs)
 カナダの大西洋岸にある、3億5400万年から2億9000万年前の陸上の動植物の化石を豊富に含んだ崖。

■メキシコのモナルカ蝶保護区(Monarch Butterfly Biosphere Reserve)
 メキシコ市(Mexico City)の北西100キロに位置する保護区で、毎年秋にはカナダと米国から約10億匹がここに飛来し、森の木々にたむろする。木々をオレンジに染め上げ、チョウの重みで枝が曲がるほどだという。(c)AFP